Research Abstract |
日本農業をめぐる内外の諸環境は大変きびしい. 1988年2月2日, 日本はガット勧告を受諾し, 8品目の農産物の輸入自由化をせざる状況にある. もし農産物の輸入自由化が全面的に行なわれると, 日本の零細な低生産性農業は全面的に崩壊せざるを得ない. このため日本農業の生産性を高め, 国際的な競争力のある企業的農業の成立が必要となる. 本研究は企業的農業の成立条件と政府, 農業団体の役割を検討したものである. 研究成果をまとめると次のようになる. 福岡, 佐賀, 熊本, 大分, 宮崎, 鹿児島の諸県における代表的な企業的農家にアンケート調査を行ない, また, 愛知, 千葉, 茨城, 栃木の諸県における代表的農家に面接調査を行なった. さらに農林水産省, 農林漁業金融公庫, 全国農業協同組合連合会, 全国農業協同組合中央会等にて企業的農業の育成対策及びそれを講ずる際の問題点を研究した. その結果企業的農業を成立させるためには政府, 農業団体は次の諸政策の推進に格別のサポートを必要とすることが明らかになった. 1.基盤整備事業の推進, 2.農地の流動化の促進, 3.大型機械の効率的利用による生産費の節減, 4.乳用牛, 肉用牛の多頭化と生産費節減, 5.情報化への対応と市場開拓, 6.資金の活用と制度融資の拡充, 総合施設資金への利子補給, 7.企業的能力の開発と研修活動等である. 現在, 日本ではバイオテクノロジーやエレクトロニクスなどが著しく進展してきた. また情報のシステム化も盛んに行われている. このような状況の下で, 農民が技術革新をとり入れ, 自ら企業者に変革することは特に大切であり, 必要である.
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