Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 1987: ¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
|
Research Abstract |
カルシウム拮抗薬の平滑筋弛緩作用は, カルシウムチャネルの抑制によるカルシウム流入の減少による. この抑制薬はある種の平滑筋では電位依存性カルシウムチャネルを選択的に抑制するが, 他の平滑筋においては電位依存性チャネルのみならず受容体制御チャネルもまた抑制する. このようなカルシウム拮抗薬に対する平滑筋の種差および部位差の原因として, 我々は受容体制御カルシウムチャネル自体の性格の差を示唆した(Karaki and Weiss, 1984). これに対してcauvinら(1983)は受容体刺激により細胞内結合カルシウムが遊離されると受容体制御チャネルのカルシウム拮抗薬感受性が低下するものと考えている. これらの仮説を検証するために, ラット大動脈およびモルモット回腸平滑筋を用いて, 細胞内カルシウムの遊離とカルシウム拮抗薬の抑制作用につき検討した. 細胞内遊離カルシウム量はフラ2を用いて蛍光変化により測定し, 同一標本から収縮張力の変化を同時に測定した. ラット大動脈にノルアドレナリンを投与すると持続性の細胞内カルシウム量の増加と持続性の収縮が見られた. カルシウム除去液中でノルアドレナリンを投与すると一過性のカルシウム濃度の増加と一過性の収縮が見られ, ノルアドレナリンにより細胞内結合カルシウムの遊離が起こることが示された. カルシウム拮抗薬ベラパミルはラット大動脈のノルアドレナリン収縮を約50%しか抑制しなかった. 他方, モルモット回腸において前述と同様の実験からカルバコールは細胞内結合カルシウムを遊離すことが示された. ベラパミルはこのカルバコールを100%抑制した. 以上の成績から, 細胞内結合カルシウムの遊離と, カルシウム拮抗薬の作用の強さとの間には相関々係は無いものと考えられ, カルシウム拮抗薬に対する感受性の種差, 部位差はむしろカルシウムチャネル自体の差によるものであろうと考えられた.
|