Research Abstract |
私達は, 先の研究で, メチオニンエンケファリン(ME)は, モルモット回腸(GPI), マウス輸精管(MVD)およびラット輸精管(RtVD)などの摘出標本において, アマスタチン感受性アミノペプチダーゼ(AsA)ホスホラミドン感受性エンドペプチダーゼー24.11(PsE)およびカプトプリル感受性ペプチジルジペプチダーゼA(CsP)などの酵素により不活性化されることを明らかにした. また, これらのME不活性化酵素は, いずれもオピオイド受容体(OR)の極めて近くに存在することを示唆した. さらに, MEは, モルモットの回腸および線条体などの膜標本において, 前記の3種類の酵素だけで加水分解されることを明らかにした. しかし, 不活性化酵素が, なぜ3種類も必要なのか明らかでない. そこで今回は, 3種類の不活性化酵素が存在する意義を明らかにすることを研究の目的とした. その結果MEの不活性化に対する3種類の酵素の相対的重要性は, GPIではAsA>PsE≒CsP, MVDではAsA≒PsE≒CsP, RtVDではAsA>PsEであった. ME-Arg^6の不活性化では, GPIでCsP≒AsA, MVDでCsP>AsA>PsE, RtVDでAsA>CsP>PsEであった. なお, RtVDのCsPに, MEの不活性化に有意な役割は認められなかった. また, GPIのPsEに, ME-Arg^6の不活性化に有意な役割は認められなかった. 一方, ME-Arg^6-Phe^7およびME-Arg^6-Gly^6Leu^7などの不活性化に対する3種類の酵素の相対的重要性は, MEおよびME-Arg^6などと異なることが明らかにされた. 以上の実験結果から, ME, ME-Arg^6-Phe^7およびME-Arg^6-Gly^7-Leu^8などは, 同じ前駆蛋白から作られるので, 同じシナプス小胞に入っていて, 同時に同じシナプスに遊離される可能性があるが, すべてを効率よく不活性化するために3種類の酵素が用意されてると思われた.
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