Research Abstract |
肺線維症, びまん性間質性肺炎, びまん性肺胞障害など, 肺がびまん性に障害され, 慢性呼吸不全に陥っていく肺患者の原因病態の解明のため, 人体材料と動物実験材料を用いて, 主としてタイプ別コラーゲン, ラミニン, フィブロネクチンなど結合織成分, 血管基底膜, 血液内血球成分などの相互関係の観点より, 病理形態学的, 免疫組織化学的, 生化学的に研究を行った. 1.線維潅化肺におけるタイプI, IIIコラーゲンの変動について:ヒト正常肺と線維化肺組織の新鮮材料を剖検より採取し, ペプシンにより可溶化後, コラーゲンを抽出, DEAEセルロースクロマトグラフィーでタイプ別コラーゲンを分離した. おおよそのα1(III)/α1(I)は正常例で0.1であり, 線維化肺では0.8程であった. 線維化肺のコラーゲン組成が, タイプIとIIIの比の逆点という結果を得た. 2.実験的線維化肺モデルの作製について:ラットを用いて除草剤グラモキソンの主成分であるパラコートにより, ヒト線維化肺の初期像に似た肺病変を作ることができた. 体重100g程度のWistar系オスラットに, パラコート20wg/kgを反復して腹腔投与することにより, 4, 5日目から硝子膜形成, 7, 8日目から肺腔壁肥厚の変化が観察された. 3.線維化肺におけるタイプIVコラーゲンについて:タイプIVコラーゲンの定量法が簡便でなく, ヒト胎盤よりタイプIVコラーゲンを抽出しモノクロナール抗体の作製にとり組んでいる. 予備的結果として, この抗体を用いてABC法より免疫組織化学を行ってみると, 正常に比して著しく陽性となる部位が減少している結果を得ている. 4.血球成分の役割について:肺障害の別モデルとしてモノクロタリンを用い, 白血球と血小板の動態について検討した. 血小板凝集が先行し, 白血球の内皮への付着が随伴する結果を得た.
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