Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松田 素子 愛知県心身障害者コロニー, 発達障害研究所・発生学部, 研究員 (40165832)
成瀬 一郎 愛知県心身障害者コロニー, 発達障害研究所・発生学部, 研究員 (20113326)
大平 敦彦 愛知県心身障害者コロニー, 発達障害研究所・発生学部, 室長 (20101074)
竹内 郁夫 愛知県心身障害者コロニー, 発達障害研究所・発生学部, 室長 (20090433)
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Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 1987: ¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
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Research Abstract |
細胞分裂によって受精卵から多細胞体となった胚の内部では, 細胞が相互に連絡して, 自他を認識する機構が働いている. それによって個個の細胞が自己の位置すべき場所や隣接すべき他の細胞を認識し, 正確な移動や配列が可能になると理解されている. 生体から解離した細胞を一定条件下で培養すると, 細胞は再集合して, 解離前に似た組織を再構成することが知られている. そこで本研究では, 細胞認識機構の阻害を指標としたin vitro発生毒性検定法の開発を目指している. 妊娠14日のラット胎仔脳をコラゲナーゼで消化して解離細胞の浮遊液を調製した. 5×10^6個の細胞をフラスコに取り, 牛胎仔血清を10%添加したダルベッコの培養液3mlに浮遊させ, これに検体を加えて, 37°C, 70rpmの条件下に48時間旋回培養した. 検体として, in viro動物実験ですでに催寄形性が認められているビンブラスチン(VB)およびカドミウム(Cd)を用い, VBでは0.0001〜0.1μg/mlの範囲で6群, またCdでは0.01〜10μg/mlで4群を設定した. 無処理対照群では長径が1〜4mmに達する大型の細胞塊が形成され, その形状に多様であった. 細胞塊形成数はフラスコ当たり1〜100個と変異がみられた. これに対し, VB処理群では濃度の上昇とともに, 細胞塊形成数が増加し大きさは減少した. 0.1μg/ml群では細胞塊形成数は700個を越え, それらの長径は200μに達しなかった. 一方, 1μg/ml以下のCd処理群では細胞塊形成パターンは対照群と差がなかったが, 10μg/ml群では細胞塊形成数は2000個を越え, それらの長径は200μに達しなかった. これらの結果は催寄性物質によって細胞認識機構が撹乱され, 細胞接着の阻害されたことを示しており, 発生毒性の定量的検定の指標になりうることを示唆している. 今後さらに各種の検体を適用するとともに, 細胞塊形成パターンと組織再構成の関係について組織学的な検討を進める予定である.
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