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¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1987: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Research Abstract |
われわれは初代培養より血清, ホルモン, 成長因子, 微量金属等を含まない無血清無蛋白培地にて増殖しうるラット肝癌細胞株(FF101)の樹立にはじめて成功し, その培養上清中に増殖因子が産生されていることを確認し, その増殖因子の精製と, 特性の固定を行った. [方法]FF101細胞は無血清無蛋白の状態でRPMI-1640にて培養し, 培養上清をアミコンのダイアフローセルを用いて濃縮した. 培養上清の細胞増殖作用はラット膜水肝癌(AH66), ヒト赤白血病細胞(K562), マウス線維芽細胞(BALB/C3T3)を用いて細胞数の算定と3H-チニジンの取り込みから検討した. 増殖因子の物理化学的性質は電気泳動, ゲル濾過, プロテアーゼ, DTT, 加熱処理にて検討した. [成績](1)FF101培養上清はAH66, K562細胞に対し培養6日目でそれぞれコントロールの20倍および22倍と著明な細胞増殖作用を示した. また3H-チミジンの取り込みも培養上清存在下ではAH66で20倍, K562で7倍, BALB/C3T3で9倍の取り込みがみられた. (2)FF101培養上清はSDS-PAGE上十数本のバンドを示したが, 免疫電気泳動では抗正常ラット血清に対する明らかな沈降線はえられなかった. セファクリルS-200を用いたゲル濾過では3つのピークに増殖促進活性が認められたが, 活性がもっとも高かったのは分画71から85であり, その分子量は約6万であった. (3)細胞増殖活性はプロテアーゼ, DTT, 80°C以上の熱処理により低下し, 増殖促進因子はポリペプタイドであることが示唆された. [まとめ]FF101細胞は分子量6万の増殖因子を産生し無血清無蛋白下で増殖可能であり, 増殖因子は種, 臓器, 悪性度の異なる他の細胞株に対しても増殖促進作用を示した. この増殖因子は分子量, 特異性の点より既知の増殖因子とは異なる可能性が高い.
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