冠再潅流が心筋梗塞量と心機能に及ぼす諸因子:生化学指標物質及び病理組織による検討
Project/Area Number |
62570385
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Circulatory organs internal medicine
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
磯部 光章 東京大学, 医学部(病), 助手 (80176263)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
矢崎 義雄 東京大学, 医学部(病), 講師 (20101090)
高久 史麿 東京大学, 医学部(病), 教授 (40048955)
永井 良三 東京大学, 医学部(病), 医員
山沖 和秀 東京大学, 医学部(病), 助手 (70182409)
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Project Period (FY) |
1987
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1987)
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Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 1987: ¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
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Keywords | 急性心筋梗塞 / 冠再灌流 / 心筋梗塞量 / 左室運動 / ミオシン軽鎖 / 心筋保護 |
Research Abstract |
本研究では, 急性心筋梗塞後の梗塞量と左室壁運動障害に対して, 早期の冠再灌流が効果を有するか否かを, 病理学的な梗塞の大きさ, 心筋内CPK含量, 左室壁の収縮期壁肥厚増加率を指標として, 非開胸覚醒犬を用いて検討した. 同時に, 梗塞部心筋から流出するミオシン軽鎖を血中で測定し, その流出量が冠再灌流による梗塞量や左室壁運動障害の改善を反映する指標として有意義かどうか検討した. (1)梗塞の大きさ:冠動脈閉塞3時間後の再灌流群では左室重量の10±3%で, 閉塞持続群(19±4%)より有意に減少した(P<0.05). しかし6時間後の再灌流は無効であった. (2)心筋内CPK含量:3時間後再灌流群では, 外膜側の心筋内CPK含量は健常部の71±7%で閉塞持続群より(35±5%)改善していた. (P<0.05)(3)収縮期壁厚増加率:冠閉塞前には収縮期左室壁は拡張期に比べ30%肥厚する. 閉塞3時間後には, 壁厚は拡張期の90%となり菲薄化する. 冠閉塞持続群では, 閉塞後7-10日でも収縮期壁厚は拡張期と同程度だったが, 3時間後再灌流群では拡張期の108-110%と改善した(P<0.05). また梗塞の大きさと壁肥厚増加率の低下は良く相関した. また再灌流によって梗塞に陥ることを免れた心筋も, 壁運動肥厚の回復には7日以上を要し, いわゆるStunned Myocardiumによるものと考えられた. (4)血中ミオシン軽鎖測定の意義:(a)冠閉塞持続群でも再灌流群でも血中軽鎖流出量は梗塞の大きさと正比例し, 回帰直線の傾きは両群で変わらなかった. これは, CPK流出量でみられる再潅流時の見かけ上の高値と対象的であった. (b)血中ミオシン軽鎖のピーク値が梗塞後3日以内に出現した症例では, ピーク値が4日以後に現われた症例よりも, 収縮期壁厚増加率の改善度は有意に高かった. このように血中ミオシン軽鎖の測定は, 梗塞による心筋障害の程度を反映するだけでなく, 冠再灌流による心筋保護の指標としても有用であった.
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)