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¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 1987: ¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
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Research Abstract |
X線治療を受けた癌患者では, 照射部位の血管の動脈硬化が進行している現象が知られている. われわれは先に, ミニ豚冠動脈の内膜剥離部にX線を限局性に照射すると高度の冠動脈攣縮が生じる事を見出した. 本研究では, (1)X線照射によって冠動脈に器質的な病変が進行性に出現するのか, (2)X線照射によって出現する血管腔の過剰狭窄現象の特徴について検討した. 1.成犬における検討:左冠動脈回旋枝に限局してX線を照射し, 2-4週間後冠動脈カテーテルを行い, エルゴノビンに対する冠動脈の反応性を検討した. 過剰収縮を認めなかったので, 病理組織学的検索行った所, 照射部位に一致して求心性の内膜肥厚を認めた. 線維性の肥厚が強い為に血管反応性が抑制されたと考えられた. 本実験では以下に述べるミニ豚と同様に照射量を1500rad×2に固定した為, X線量が強すぎたと思われる. 今後, 血管反応性とX線照射線量との関係を検討する予定である. 2.ミニ豚における冠動脈攣縮:高コレステロール血症ゲッチンゲン種ミニ豚の冠動脈内膜剥離3, 4か月後, 同部にX線を各1500rad照射した. 5か月後, 冠動脈の反応性を冠動脈造影にて定量的に評価した. X線照射前(内膜剥離3か月後)はヒスタミン, セロトニンに対し34, 45%の内腔狭窄率であり, 非剥離部と有意の差を認めなかった. 照射後は(内膜剥離5か月後)ヒスタミン, セロトニンに対し57, 83%の狭窄率を示した. すなわち, セロトニンに対する過剰狭窄現象が出現した. 又, 攣縮出現時に心電図ST上昇が高頻度に認められた. 攣縮部の冠動脈をニトログリセリン作用下に検討した所, 有意の器質的変化(壁不整)を認めた. これらの成績はX線が冠動脈硬化を促進すると共に血管壁自体のセロトニン感受性も亢進した事を示唆する. 尚, セロトニンの過剰収縮はプラゾシンで抑制されず, ケタンセリンで抑制されたのでS_2レセプターを介する現象と考えられた.
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