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¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 1987: ¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
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Research Abstract |
PDP〜11/23電子計算機の制御のもとで, 音声合成装置DECtalkを駆動し, 日本オージオロジー学会制定の57式語音表ならびに67式語音表収載の日本語語音を合成した. この際, 合成される語音の持続時間(200ms)と語音間の間隔(2秒)は, 日本オージオロジー学会作成の音盤のそれらを一致させた. これらの語音はフロッピーディスクにデイジタル記録するとともに, PCMレコーダに収録し, 編集した. 次いでPDP-11/73電子計算機上でソフトウエアシステムILSを駆動し, 上記で合成した語音について各種の時間歪みを加え,時間歪語音列を作成, 記録した. 得られた語音列を用いて, 健常成人について語音聴力検査を施行した. 先ず, 母音のみについてみると, 無歪の場合, 57式合成語音列によっても, 67式合成語音列によっても, 100%の語音明瞭度を得た. これは従来の57式ならびに67式音盤を用いて得られる値と同じであり. 合成語音を聴力検査に利用することの正当さを示すものの一つと考えられた. 次いで子音を含む語音全体についてみると, 57式音盤による語音明瞭度が97%であったのに比べ, 57式合成語音の明瞭度は82%であり, 合成語音では自然語音よりも冗長度が低下しているものと考えられた. 67式合成語音によっても, ほぼ同様の結果が得られた. 時間歪語音列を用いる語音聴力検査では, 語音の持続時間が14msec以下になると明瞭度が著明に悪化した. また合成した無歪および時間歪語音列による語音聴力検査を, 聴覚障害者に対して施行してみると, 自然語音による場合とよく似た明瞭度曲線が得られたが, 明瞭度は自然語音によるものよりも低く, またconfusion matriaでは異聴の範囲が自然語音よりも拡大していた. 以上の成績から, 合成語音による語音聴力検査は, 臨床上有用であると考えられた.
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