石灰化前質のカルシウムおよびリン酸イオンの透過性に関する基礎的研究
Project/Area Number |
62570835
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Functional basic dentistry
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
桂 暢彦 長崎大学, 歯学部, 教授 (30013840)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小早川 健 長崎大学, 歯学部, 教務職員 (10153587)
小野 俊雄 長崎大学, 歯学部, 教務職員 (80050607)
田中 祺一郎 長崎大学, 歯学部, 助手 (50001954)
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Project Period (FY) |
1987
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1987)
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Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 1987: ¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
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Keywords | 石灰化 / プロテオグリカン / イオン透過 / 石灰化前質 / 陽イオン交換ゲル |
Research Abstract |
石灰化しつつある組織は石灰化前質を最初に分泌する. 骨や象牙質の前質はコラーゲン線維とプロテオグリカン(PG)の複合ゲルが主体である. Caやリン酸イオンはこの複合ゲルを通って石灰化前線に至る. PGは多数の酸性基を持つ巨大分子であるから, 陰イオンであるリン酸は通過困難ではないかと想像される. 一方, むしろ同種電荷の反撥によってゲル塊の間隙を早く通過することも考えられる. 方法;3室をもつ透析器の第1室に20mMのリン酸又はCa液, 第2室にPG溶液, 第3室にpH7.4の緩衝液を入れ, 隔壁には0.05μm孔径のヌクリポア膜を用いた. すべての液は150mMのKClを含む. 第1及び3室のイオン濃度を経時的に測定した. 結果;PG濃度を1.45%まで上げてゆくと, CaはPG濃度の上昇にともなって透過速度の低下にいちぢるしい影響がみられた. これに対し, リン酸の透過速度はあまり低下しなかった. 考察;PGはリン酸イオンに対し透過妨害をあまりせず, 第2の考え方が正しい. リン酸は有機エステルとして透過する必要はなく, 無機イオンのままで容易に透過できる. これに対し, CaイオンはPGの陰性基でイオン交換をしながら透過するためにPG量の影響を強く受けると解釈される. PGは溶液状態でもゲル塊を作り, 陽イオン交換ゲルカラムと同様の作用をしていると考えられる. これから石灰化前質のイオン透過を考えると, Caイオンとリン酸イオンは別々の通路を通り, 前質中でリン酸カルシウムとなることなく石灰化前線に至るという考えが正しいと思われる. この考えは, すでに桂が示唆していたものである(石灰化とプロテオグリカン歯科基礎誌26巻315-325頁1984年).
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Report
(1 results)
Research Products
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