Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1987: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
|
Research Abstract |
グルコースー6-リン酸脱水素酵素(G6PD)異常症は世界で1億人以上が本症の異常遺伝子を持つと考えられ, 最も頻度の高い代謝異常症である. われわれはわが国において90家系のG6PD異常症を発見してきた. 病因は患者酵素の酵素学的, 生化学的性状より変異酵素の産生によることが最も考えられるが, その詳細は不明である. 正常酵素に関しては昨年度, 米国吉田昭博士らにより相補的DNA(cDNA)のクローニングおよび塩基配列の決定がなされた. われわれはこのcDNAの供与を受けたので, これをプローブとしてG6PD異常症の遺伝子レベルでの病因解明を試みた. 方法はG6PD異常症患者のリンパ球を株化し, そのメッセンジャーRNA(mRNA)をcDNAクローニングの材料に用いてmRNAの全構造を解析する方法をとった. この方法により, われわれは佐賀医大向井博士らと共同でアルドラーゼ(ALD)異常による遺伝性溶血性貧血の遺伝子レベルでの異常を解明した. すなわち, AUGから386番目に一塩基の置換(A→G)がみられた. その結果, 128番目のアスパラキン酸(GAU)がグリシン(GGU)へのアミノ酸置換が起っていることが判明した. さらに, 酵素活性や熱安定性にこの変異が直接かかわっていることを, 大腸菌発現系のベクターを用いて明らかにした. G6PD異常症に関しては, わが国における頻度が約0.1%と考えられるG6PD Ubeと, 特異な基質親和性を示すG6PD Kobeのリンパ芽球を大量培養し, ポリARNAを調製し, λgt10をベクターとしてcDNAライブラリーを作製した. このライブラリーのスクリーニングを行っているが, 現在迄に陽性クローンは得られていない. G6PDはALDc比較するとmRNA含量が少ない事が原因と考えられるが, 現在引き続いてスクリーニングを繰り返している.
|