Research Abstract |
緑色野菜数種を使って, 酢を調味料として配合した料理(中国料理……酢豚, 洋風量理……ソース)をとりあげ, 前処理法並びに添加食酢量の相違が緑色の安定性に及ぼす影響について調べた. 昭和62年度の研究結果は以下のとおりである. 1.酢豚について: ピーマン, さやいんげん, さやえんどうを生鮮状態で混合調味液(酢, しょうゆ, 砂糖, 水, 片栗粉を用いて作ってとろみあん)の中で加熱した区, ゆでた後に混合調味液を加えた区, 油で揚げた後に混合調味液中に加えた区の3区で比較すると, いずれの野菜も混合調味液(とろみあん)の中で時間の経過に伴って色は変化していくが, その度合は, さやいんげんはいずれの処理のものも最も急速かつ, 大であった. 食酢添加の量の違いによる色相, 彩度値の低下の度合は, いずれも添加量が多くなるほど大であった. 食酢添加量の違いが最も明らかに現れたのはゆでたさやいんげんで, さやえんどうはその違いも表れにくく, 比較的緑色を保ちやすい材料と考えられた. 2.ソースについて: えんどう(実), パセリ, ほうれんそうを使用し, それぞれ生鮮状態のものと, 揚げる, ゆでるなどの加熱調理を行ったものとについて, ホモジナイズした後, 経時的に色を測定した. 加熱調理を行った場合は, いずれの試料においても揚げたものが明度が高くなった. また加熱しない生鮮状態のものと比べた場合, えんどうはパセリ, ほうれんそうに比べて加熱による変化は少なく, 特にゆで処理の場合, わずかな色差であった. 食酢添加により明度彩度が高くなり, 色相は生鮮区でいずれの野菜も緑みが増すが, 加熱処理区では黄みがかかった. 経時的に調べると, 加熱した野菜が偏色度大で, しかも時間経過に伴って進行した.
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