Research Abstract |
油汚れの繊維への付着仕事と実際の付着力との対応をしらべるために, モデル基質としてポリアミド, セルロース(いづれもパウダー)を用いモデル油汚れとしてステァリルアルコールを用いて吸着実験を行った. その結果, 平衡吸着量はいづれの濃度(1.6, 3.2, 6.4%o.w.f)においても付着仕事の大きいポリアミドがセルロースより大きく, 付着仕事とよく対応した. さらに吸着量は15, 30, 60分でほとんど変わらず, 比較的短時間で繊維表面への吸着が平衡に達することがわかった. 2.そこで1.の実験結果をふまえ, より低濃度(0.4, 0.8, 1.6%o.w.f)で温度(50, 60, 70°c)を変えて同様の実験を行った結果, 1〜5分の間に吸着量のおよそ90%が吸着すること, 平衡吸着量は, 50, 60, 70°Cの順に大きく, エタノール比率が小さいものほど吸着量は増大することなどがわかった. これらのデータをもとに, 今後吸着熱の算出を行う予定である. 3.次にステアリルアルコールのポリアミドパウダーからの脱離過程をしらべるために, モデル洗浄機(再汚染のおきない)を試作し, 25, 50°Cにおける水/エタノール混合液による洗浄を行い, 各洗浄時間(1〜15分)の脱落量, パウダー上に残留した量を定量した. その結果, 25°Cにおける洗浄では, 洗浄液中のエタノールの割合が高い方がより高い脱落率を示すが, エタノール比率が50%を境に急激な変化がおきる. 50°Cにおける洗浄では, 25°Cにくらべ脱落率は急激に高くなることなどがわかった. 速度論的解析を行うためには, 今後洗浄液の流量を小さくする, 水/エタノール比をより細かくするなど, 実験条件を整えることによって, 多くの知見が得られることが判明した.
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