Research Abstract |
本研究の目的は水中および陸上運動時の活動筋(主に抗重力筋)とエネルギー代謝の差異を明らかにし, 水中運動処方のための資料を供することであった. 被験者は健常人女子3名(19〜21才)とし, 陸上および3段階の水位(腰, 横隔膜下, 肩峰)にて約20分間のエアロビクスエクササイズを行った. 測定項目は前述の条件にてエネルギー代謝, 分時換気量, 分時心拍数をアニマ社製自動代謝測定装置にて測定し, 陸上運動時と比較した. また活動筋(主に抗重力筋群)としてヒラメ筋, 腓腹筋, 大腿二頭筋, 〓帽筋, 外腹斜筋の放電パターンを水中, 陸上運動時と比較した. なお, 水温は28±0.5°C, 室温は29°Cの条件下で各運動を実施した. 結果および考案:エネルギー代謝では重力の影響が少ないにもかかわらず水中運動の方が約15%大きい値を示した. これは水の抵抗が大きく, 同一動作を行う際, 腕, 脚に大きな負荷抵抗を与えたためと考えられる. 従って, 水中運動では動作をゆるやかに, しかも手掌, 大腿など特に抵抗になる部位の動作は各自の体力レベルに合わせた処方をする必要があることが明らかにされた. 心拍数, 分時換気量において陸上, 水中とも有意差は認められず, 水中運動の方が同一心拍数で大きなエネルギー消費量が得られることがわかった. 抗重力筋の放電パターンは水位が深くなればなる程その放電量が減少する傾向にあり, 重力の軽減が直接抗重力筋の活動に影響を与えるようであった. しかし, ヒラメ筋, 腓腹筋については他の筋群より, その影響が少ない傾向にあった. 以上のことより, 水中運動は同一陸上運動と比較して, 循環器系の負担が少なく, 多くのエネルギー消費が得られ, 減量や中高年者の運動に適していると思われた. また, 筋負担の面からは重力の影響が軽減できるので, 肥満, 足首, 膝, 腰などの障害を持った者にとっては, ,水中運動の方が適していることが示唆された.
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