Research Abstract |
競技パフォーマンスを決定する重要な要因である集中力について, o文献的研究, o実験的検証の2つの側面から検討を行なった. 1.文献的研究;集中力に関する類似概念を実験上どのように操作的定義を行なっているかについて国内・外の商用データベースをもとに収集整理した結果, 競技場面との関連では従来の選択的注意仮設よりも, 「ある次元についての刺激制御が獲得されると, 別の次元についての刺激制御が促進される」という一般的注意仮設(general attentiveness)の立場をとる研究の多いことが示される. 2.実験的検証;実験では, 注意・期待を生体の反応への準備状態の高低を表す概念である覚醒水準が, 一連の選択反応運動課題でどのように変化し, パフォーマンスにどのような影響を及ぼすかについて検討を行なった. 健康成人14名を被験者とし, 予告刺激を伴う選択反応条件, 単純反応条件, コントロール(無反応)条件の課題を用い, 脳波, SPL(skin potential level;皮膚電位水準), 眼球運動, 筋電図の記録を行なった. 脳波はF_2, F_3, F_4, C_2, C_3, C_4, P_2, P_3, P_4, T_3, T_4の多素子導出とし, それぞれの条件における時間的・空間的変動の分析を試みた. その結果次のことが見いだされた. (1)覚醒水準, 即ち集中力の変化を反映する神経生理的指標としては脳波や眼球振動よりもSPLが鋭敏であり, 緩徐は眼球, α波, 瘤波等の脳波よりも応答が速った. (2)集中力の低下と運動パフォーマンスとの関連を選択条件での正・誤反応時の生体情報の特徴の違いとしてとらえると脳波に顕著な相違が観察され, 誤反応時の随伴製陰性変動に前頭部早期陰性電位の欠損(5%レベルで有意), 誤反応直前2.56秒間の脳波について拘束フーリエ変換, パワースペクトルを求めると, 低減α波(7.5Hz)に第1ピークが見られた. 現在, (1)の結果に基づきコンピュータ制御によるSPLバイオフィードバック訓練を行なっている.
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