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¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 1987: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Research Abstract |
中性で生育する大腸菌などのATP合成は, H^+の電気化学ポテンシャル差(Δμ^^〜H^+)によるH^+の流入と共役している. それに対して, 低Δμ^^〜H^+下での生育に適応した絶対好アルカリ性バチルス菌のATP合成が, Δμ^^〜H^+に基づくH^+駆動型であるのか, この菌の他の膜機能と同様にNa^+の電気化学ポテンシャル差(Δμ^^〜Na^+)に基づくNa^+駆動型であるのかをまず解析した. 生菌を用いてATP合成活性を測定するためには, 菌体内ATP濃度の減少が必要である. 通常, 菌体内ATP濃度の減少には燐酸の代りに砒酸を用いる方法が広く用いられているが, 好アルカリ性菌ではATP濃度の減少は起こせなかった. そこで, 種々の条件を検討した結果, Na^+非存在下に外液のK^+濃度を200mM程度に上昇させると, 膜電位の減少と共に菌体内ATPも顕著に減少することを発見し, 論文として報告した. この新方法で菌内ATP濃度を減少させた後, 外液のK^+濃度を急激に減少させると, 膜電位の急激な回復と, Na^+非存在下であるにもかかわらず, 急激なATP濃度の上昇が確認された. すなわち, 好アルカリ性バチルス菌のATP合成は, この菌の他の多くの膜機能にNa^+の存在が必須であるのとは異なり, 中性菌のATP合成と同様にH^+駆動型であると結論される. 低Δμ^^〜H^+でも好アルカリ性バチルス菌がH^+駆動力を用いてATP合成を正常に行うには, 例えば, 呼吸系とATP合成系の直接共役の存在が考えられる. しかし, 上述の実験は全て呼吸茎質存在下で行われている. すなわち, 呼吸系が正常に働いても, Na^+非存在下高K^+濃度でATP濃度が減少することから, 呼吸系とATP合成系の強い直接共役は可能性が小さい. 従って, ATP合成酵素そのものの解析が, 次の研究ステップとして必要である. 以上の研究の中で, ATP量の直接測定には, 当科研費で購入したルミカウンターを用いた.
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