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¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 1987: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Research Abstract |
転写終結因子ρ蛋白の機能的特色は転写産物RNAを相互作用の標的とすること, およびそれにATPase反応が共役していることにある. 本研究ではこうした反応の分子的基盤を解明するために, 先に分離した変異ρ因子を利用して以下の解析を行った. 1.変異部位の同定とその機能的効果-数種の変異ρ遺伝子のDNA塩基配例を決定し, それに基き蛋白一次構造を解読したところ, 構成アミノ酸419個中, 計4箇所の残基に変異が見出された. さらに各残基は次のようにそれぞれ異る機能に関連することが示された-残基3, 長鎖RNA結合能;残基156, ATPase反応と転写終結の共役;残基304および323, 短鎖RNA相互作用. 2.転写終結シグナルの同定-上記変異ρ因子中, 323番残基の置換したものは同時に転写終結部位特異性が変化していた. そこで, 正常部位と異常部位の周辺のRNA塩基配列を詳細に比較したところ, 3′末端数残基に系統的な差があり, 野生型ρはアデニンに富む配列を選り好みするのに対し, 変異型ρは逆にそれを忌避することが判明した. 従ってρはRNA鎖の3′最末端部の配列を終結シグナルとして識別している可能性が新たに示唆された. 3.ρ蛋白の機能ドメイン編成-ρ蛋白の一次・二次構造を既知のATPaseのそれと比較したところρ蛋白の中央約200残基に共通性が認められ, この領域がATPase活性を担う機能ドメインを構成するものと推定された. これより上述の変異箇所中, 156, 304, 323番残基は直接または間接にATPaseドメインに関連すること, 対して3番残基は別のドメインに属することが判った. 以上の結果から, ρ因子とRNA間の相互作用の様式とρ蛋白の機能ドメイン構成について重要な手掛りが得られた. これらの知見を基に, ρ因子の分子作用機構を更に掘下げて行きたい.
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