Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
倉林 義正 一橋大学, 経済研究所, 教授 (20017651)
宮村 忠 関東学院大学, 工学部, 教授 (60157675)
室崎 益輝 神戸大学, 工学部, 教授 (90026261)
吉井 博明 文教大学, 情報学部, 教授
廣井 脩 東京大学, 新聞研究所, 助教授 (80092310)
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Research Abstract |
自然災害対策では, 常になんらかの「防災力」を暗黙に想定している. しかし「防災力」の概念や測度を具体的に問題にした研究は少ない. それは, 災害の様相の事前予想が難しく, 被災が地域の特性に依存することの困難による. 本研究は, 地域の社会組織(公共機関, 民間企業体, 自主防災組織, 学校など)がもつ「防災力」と呼ばれる評価内容を, 過去の防災・被災事例の分析に基づく検証・傍証により具体化し, 相互比較可能な側面や特殊的側面など, 防災諸要素の機能的構造を明らかにすることを目的にする. 62年度は, 予定の3年間の初年度として, 問題の枠組みを固めるためケーススタディと小規模調査により, 以下のように種々の問題点を検討した. 1.近年発生した災害で被害を受けた地域を選び, 災害前の防災計画・予算・担当人員・情報伝達メディアなどの体制, 災害時の対応状態と防災計画のズレ, 事後の防災計画の改善事項などを調べた. 具体的には, 伊豆大島噴火の事前と事後の公共機関の防災対応の変化, 千葉県東方沖地震における市町村の対応, 日本海中部地震後の学校防災体制の実状, 自主防災組織(青年団, ボランタリー集団, 宗教団体など)の防災活動状況と公共機関との提携関係, 水害にみる都市型(長崎)と農村型(小見川)の差異とその水防組織における問題, などの事例を分析した. 2.他地域についても, 極力, 過去の被災記録や資料の収集に務めると同時に, 全体に共通する重要問題に関する資料分析を行った. すなわち, 復旧過程の事例として昭和9年の函館大火, 災害関係法令の制定過程, 民間企業の蓄積データベースの安全・保護などの問題を検討した. 今後は, 以上の知見に基づき, 市町村等を対象に本格的な調査を実施するほか, 地域住民の防災体制への認識・態度などの補助的調査を加え, 詳細な分析・検討を行う予定である.
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