Research Abstract |
本研究では, 集中豪雨は高温多湿でしかも強い不安定成層状態の気団が, 低温の流体層の上に乗り上げるときに生じると考え, 以下のような仮説の下に, 風洞・水槽実験, 数値実験, 野外観測を行って, 集中豪雨のメカニズムを解析することを目的とする. 即ち, 不安定成層気団が海上で下から加熱を受けている状態では, 熱対流としてセル状あるいはロール状の大規模渦構造が形成されているが, この気団が低温の流体層に乗り上げる際には不安定成層気団の下面には, no-slip条件からslip条件に変化するため, 大規模渦構造は大きく変形して, 上昇流, 下降流ともその流速は極端に増大し, 空間的にも局在化が進み, この増幅された熱対流が集中豪雨の引き金になると考える. 本年度は, 水平平行平板間流れと平板上乱流境界流れの2つについて室内実験を行い, 不安定成層状態では, 乱流状態でも, 間欠的にパッチ状に大規模な渦構造が形成されていることを見出し, その詳細な構造を調べた. また, この渦運動が熱や運動量の乱流輸送の80%以上(渦の形成されている時間分率0^32以上程度)を担っていることを示した. 更に, 不安定成層流が安定成層状態の流体層の上に乗り上げる際, 大規模渦を構成する上昇流, 下降流が極端に強まることを, 大型拡散風洞を用いた流れ場の可視化実験と排煙流の観察で確かめ, 本年度は種々の乱流統計量の測定を行った, 一方, 本研究グループはここ10年来, 密度成層乱流中の乱流の構造および輸送機構に及ぼす浮力効果に関する一連の研究を実施してきた. 本研究では上空での挙動を含む壁面乱流と自由〓断乱流の両方に適用できるモデルとして, 密度成層流に対する代数型乱流応力モデルの展開を行った. 更に, 集中豪雨の大規模観測に参加して, 1000m-3000m高度に放球したノンリフトバルーンの上下運動を海上50Km程度に亘って追尾した. まず, ノンリフトバルーン測定の技術と理論を確立した.
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