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¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1987: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Research Abstract |
日本海中部地震津波(1983年5月26日)が及んだ海岸域で発生した堆積作用は, 大きく3通りに分けることができる. 1.大規模な津波が押し寄せ, 遡上した海水が海に戻ることにより堆積物を大きく移動し, 海岸地形を変えた. 2.内湾や潟に侵入した津波は, 底質を激しく撹拌した. 3.震度Vを越す地震により海岸と砂丘地に亀裂が入り, これを通して海水が湖沼に流入した. 海水と供に持ち込まれた海岸や砂丘の砂は湖沼底に沈積し, 底質堆積物には海水起源の化学成分が付加した. これら3つのタイプの堆積作用は, 通常の堆積過程から大きく逸脱しており, 地震津波の痕跡として堆積物中に記録されていることが期待される. そこで, 青森県市浦村十三付近の湖沼系の堆積物を5ケ所から柱状試料として採取し, これらについて堆積学的, 地球化学的に検討した. その結果, 2つの砂丘間湖沼-前潟と明神沼-から得た長さ1.7mと1.0mの柱状試料中に, 過去250年間にこの地域に襲来した可能性のある地震津波がすべて記録されていることが判明した. いずれも3の堆積作用による古津波の痕跡であると解釈される. 他の3ケ所の試料はすべて湖沼底から10mの深さまで達しており, これらについても同様の解析を行った所, 海岸に近い砂丘間湖沼-内湖-の試料中に計5つの堆積イベントを発見した. これらのイベントはいずれも, タイプ1の突発的な堆積作用により作られたことが明らかとなった. そのうち, 深度3.5mのイベントは, ナシ湖水戸口周辺の環境を激変した堆積作用によるものである. その年代については現在の所不明であるが, 14世紀以降, 16世紀以前に発生したことが古文書の解読によって推定される.
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