Research Abstract |
本研究は, はり及びラーメン構造物が地震も風, 過大荷重等により弾性限度を越える大ひずみを生じ, 材料の力学的性質が非線形挙動を示す状態における構造物の挙動を, エネルギー原理及び数理計画法の手法を用いて解析する方法について研究を行ったものである. 1) 静荷重を受けるはり構造物の全コンプリメンタリーエネルギーを不静定曲げモーメントの関数として表わし, 釣合条件を利用して無制約のエネルギー最小化問題を導入し, これを数理計画法の手法を用いて最小化することにより, はりの不静定曲げモーメントを決定する方法を確立し, 解析プログラムを作成した. 解析例として3種類の非線形材料からなる種々の連続桁に適用し, 変位法による解との比較を行い, 本研究の方法により変位法と比較して0.3〜1.0倍の計算時間で能率的に正確な最終解が得られることを明らかにした. 2) 1)でのべた方法を, 各部材に曲げおよび軸力が作用するラーメン構造物にも適用できるように理論を拡張した. すなわち, 各格点の力の釣合方程式の条件のもとで, ラーメン構造物の全コンプリメンタリーエネルギーを逐次二次計画法の手法を用いて最小化することにより, 各部材の軸力及び曲げモーメントを決定する解析プログラムを作成し, 3種類の非線形材料よりなる静荷重を受けるラーメン構造物に適用し, 結果の検討を行った. 上記1), 2)の研究により, 本研究で提案している骨組構造物の材料非線形解析法は, 定式化及びアルゴリズムが単純であり, いかなる非線形材料に対しても全く同様に適用でき, 汎用性があること, 非常に精度の高い厳密解を従来の方法と比較してきわめて能率的に決定できることなどが明らかとなった. 3) 非線形材料よりなる低自由度の構造物が, 地震荷重などの不規則な動的荷重を受ける場合の非線形振動応答を, エネルギー法及び数理計画法の手法を用いて解析する方法の理論的な考察を行った.
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