Research Abstract |
本研究の目的は, 長周期微動を用いて地下構造を解明し地盤の震動性状を把握すると同時に強震記録と比較検討し, さらに地震時における高密度震度分布図と対応させることによって強震動の予測を行うこと目的とする. 具体的には, 1.1987年1月の2個の地震並びに過去の地震の震度調査の整理, 2.地盤上における長周期微動のアレー観測, 3.有感地震を対象とした地震観測, 4.八戸市における震度-震央距離-マグニチュードとの関係を1963〜1987年の地震(特に太平洋に発生した浅発地震でかつ八戸で有感の637個の地震を対象)を用いて関係式を求めた. この結果, 基盤上で観測された地震波を入力地震波と仮定して長周期微動のアレー観測から求めたS波の速度構造(層厚, S波速度は, 第一層目は, 0.027km, 0.2km/s, 二層目は, 0.144, 0.42, 三層目は, 0.165, 0.72, 四層目は, 0.045, 1.1, 五層目は, 0.122, 1.28, 六層目は, 半無限, 2.8)の伝達関数をもとにして地表における加速度スペクトルを求めたところ, 長周期微動のスペクトルとかなり良い一致が見られた. また, この地点においては震度分布図に見られるいわゆる揺れ易い地点に相当しており, 増幅率も10倍近くに達している. 少くともこの様な地盤に対しては長周期微動の卓越周期と強震動のスペクトルとの間に良い相関があり, 長周期微動を用いる方法は有効である. また八戸における震度-震央距離-マグニチュードとの関係式を見ると, 八戸から見た地震の方位角が180°〜360°(西部)の地震と0°〜180°(東部)の地震を比較すると, 同じ規模の地震であっても東部(太平洋及び沿岸)の地震の方が大きい震度を与え, 東部で震央距離400km, 西部で300kmでM8の地震を想定すれば八戸では地震IVとなる. この様な厚い堆積層上では最大加速度は周期にもよるが, 200galを越えるものと思われる.
|