カドミウム汚染地域住民にみられる尿細管障害の性差に関する研究
Project/Area Number |
62602515
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Toyama Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
青島 恵子 富山医科薬科大学, 医学部, 助手 (20126501)
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Project Period (FY) |
1987
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1987)
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Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1987: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | カドミウム / 尿細管障害 / β_2-マイクログロブリン / 骨代謝 / ビタミンD代謝 / 性差 |
Research Abstract |
富山県神通川流域カドミウム(Cd)汚染地域に長年居住し, かつ早朝尿中のβ_2-microglobulin(β_2-m)が1,000μg/gcreatinine以上を呈した男性住民73名(56〜71才)を対象に, 肝機能および骨代謝に関する検査を行い, 以下の結果を得た. 1.β_2mの再吸収機能を表すβ_2mクリアランス(Relatire clearance of β_2-m)の幾何平均値は4.5%であった. β_2-mクリアランスの正常値は約0.1%70才以上でも0.3%を超えない. すなわち尿細管におけるβ_2-mの高度の再吸収障害が認められた. 2.尿細管機能検査として従来より用いられている尿酸クリアランス(Relative clearance of uric acit)の高値を認め, 13名(18.3%)は30%以上であった. またほとんどの例が正常上限値の13%を超えており, 尿細管における尿酸のhandlingに異常を認めた. 3.尿細管リン酸再吸収能TmP/GFRは, 44名(62%)が2.5mg/dl未満の低値であり, 尿細管におけるリン酸の再吸収低下が認められた. 4.クレアチニンクリアランス50ml/min以下の低値例が28名(38%)みられ, 糸球体濾過の低下が認められた. 5.骨〓縮度をMicrodensitmetry法によって解析した. 尿β_2+mが高い例ほどMetacarpal indexおよびΣGS/D値が低下していた. すなわち, 骨量の低下が認められた. 6.尿細管障害例のビタミンD代謝異常の有無を検討した. 血中PTHは全例1.2ng/ml以下であった. 血中25OHDは低値を示した. 他方, 1.25(OH)_2D値はほとんどの例が正常範囲であった. 7.以上より, 富山県神通川流域Cd汚染地住民では, 男女ともに多発性尿細管機能異常症(Fanconi 症候群)の発症が認められた. 機能障害の程度は男女とも軽症例から重症例まで存在し, 男女差はみられなかった. しかし, 骨量はあきらかに女性で減少しており, かつ尿細管障害が高度となるほど, 骨量の減少は顕著であった. したがって, 骨病変は女性に発生しやすいと考えられた.
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)