Research Abstract |
太陽熱エネルギーの資源化を目指すヒートポンプシステムにおいて, その作動媒体の選定は最も重要な基礎である. 本研究課題では, 最適作動媒体の選定のため混合媒体及びその純粋成分に関する熱物性の実測を本年度の研究目的として, 以下の成果を得ることができた. 1.フロン系冷媒R152aの飽和蒸気圧力をパーネット法の実験装置を用いて, 276K〜386Kの温度範囲に44点得ることができた. 温度測定精度は, ±10mK以内, 圧力測定精度は, ±0.8KPa以内である. 2.R152aのPVT性質をバーネット法により, 温度範囲290K〜420K, 圧力範囲0.15MPa〜5.5MPaに109点測定した. 温度測定精度は±10mK以内, 圧力測定精度は±0.8KPa以内, 密度測定精度は±0.5%以内である. 3.R1.52aの第2ビリアル系数を2.で得られた実測値情報から温度範囲, 29.0K〜42.0Kに±3%以内の精度で求めた. 4.R152aの臨界定数及び気液共存曲線の測定を, 気液境界面の消減を肉眼で直接観察する方法により行なった. その結果, R152aの臨界密度を368±2Kg/m^3, 臨界温度を386.44±0.01K, そして, 臨界圧力を4.5198±0.0010MPaと決定した. さらに, 370Kから臨界温度までの範囲に飽和液体密度10点, 飽和蒸気11点を温度測定度±10mK密度測定精度0.08〜0.55%で得ることができた. 5.R152aの飽和液体密度については, 磁気密度計を用いて温度範囲220K〜360K, 密度範囲675kg/m^3〜1.065kg/m^3に27点の実測値を得た. 温度測定精度±50mK, 密度測定精度は0.2%以内であった. 6.以上の実測値情報を基礎にして, R152aに関する飽和蒸気圧力相関式, 気液共存曲線上の密度相関式, 飽和液体密度相関式, 及び気相域の熱力学性質を表現できるSoave-Redlich-Kwong状態式の定数を決定した. 7.以上のR152a純物質の他, R152a+R114系のPVTX性質, 気液共存曲線, 臨界軌跡の測定を行い, 他の非共沸混合冷媒の熱力学性質も含め解析を行った.
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