Research Abstract |
本年度は次の3課題について研究を進めた. (i)アルカリ炭酸塩系の熱力学状態図の表現法に関する考察. 金属成分Mが異なるアルカリ炭酸塩M_2CO_3(M:Li,Na,K)について, 異なる条件下での安定性を一目で比較することが可能となる状態図表現法を検討した. 種々の状態図について, 考察した結果, アルカリ炭酸塩の共通陰イオンであるCO_3^<2->の構成元素CとOとを独立変数に採る状態図を提案した. 1og a_c-1og P(O_2)状態図上にM-C-O系化合物の安定相を表示し, 図上の各点に対応するP(CO_2), P(CO)圧を示す補助スケール, 等アルカリ金属活量線, 等M_2O, M_2O_2, MO_2活量線などを加えることにより, E-pO^2-図とは異なる観点からアルカリ金属炭酸塩の安定性や熱力学的性質を把握することが可能となった. (ii)セラミックス材料の腐食に関する研究. 安定化ジルコニア焼結体は炭酸塩によって破壊に至る著しい腐食を受ける. この現象を解明することは, 溶融炭酸塩燃料電池, 高温固体電解質燃料電池双方の材料問題解決の為に, 重要であると考え, 詳細な検討を進めた. 安定化ジルコニアは固体, 融体, 何れのアルカリ炭酸塩によっても, アルカリ金属の種類によらず腐食を受けること, この反応は, ジルコニア表面での加成反応と粒界への炭酸塩の侵食反応からなっていること, 更に, カルシア安定化ジルコニアではCa成分が炭酸塩中に著しく溶け出すこと, などが明らかになった. (iii)酸素ガス極における三相界面の役割. ガス/電極/電解質三相界面を構成したときの電極反応機構を解明する目的で, 金線を電極に用いて電極を上下させて, 三相帯のある場合と完全に浸漬した場合の反応速度の違いなどを, 定常分極測定, 複素インピーダンス測定などにより検討した. その結果, 電極反応が三相帯を中心に起きること, カソード反応は, 完全浸漬電極と三相帯電極で異なる機構をとる可能性があること, などが明らかにされた.
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