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¥2,300,000 (Direct Cost: ¥2,300,000)
Fiscal Year 1987: ¥2,300,000 (Direct Cost: ¥2,300,000)
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Research Abstract |
省エネルギー的で高濃縮性を有する分離法として注目されている能動輸送機能を有する支持液膜を高機能化して, 従来から私的されていた諸問題を克服し実用化することを目的として一連の研究を行った. まず新しい液膜形態として, 二枚の疎水性多孔質膜の間の流路に液膜溶液を流通させる方式の「流動液膜」を提案し, これをスパイラル型にモジュール化することに成功した. 本モジュールによる有機リン酸系抽出剤を担体とするコバルト, ニッケルの回収実験において, これらのイオンが効率よく回収され, かつ従来の含浸液膜と比較して飛躍的に膜安定性が向上し, 本方式の優位性が確認された. また, 膜透過機構およびモジュール設計法を確立し回収率, 選択率の定量的予測が可能となった. 膜透過選択性の向上を目ざして, 担体を異にする二種の選択透過液膜を併用して二種の溶質を高選択的に分離する手法を提案した. 本手法を亜鉛とカドミウムの分離に適用し, 単一の液膜を用いる場合より分離係数が著しく向上することを理論的, 実験的に実証した. 液膜の最も有望な用途は高価な溶質の希薄溶液からの回収であるが, この場合の分離エネルギーを考察するため薄層流型モジュールの流路の圧損失, および透過流束, 所要膜面積を支配する原料液相物質移動係数を測定した. その結果, 薄層流型は中空系型より物質移動特性が優れていること, モジュールコストの低減, 耐久性の向上が実用化のために最も重要な課題であることが判明した. 実用的に重要な分離対象としてガリウム, インジウムの希薄溶液からの回収をとりあげ, 透過性, 選択性に対する諸因子の影響を検討した. 有機リン酸系抽出剤を担体とする場合, 高級アルコールの添加によりインジウムの選択性が飛躍的に向上し, これらの結果は分配平衡, 膜透過モデルにより説明することができた.
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