Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1987: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Research Abstract |
脳や中枢の無い単細胞生物が外界から来る様々な刺激に対し適切に応答できるのは, 細胞膜上の受容体で感知された情報を認識, 選択, 判断, 伝達という. いわゆる知覚機能を膜レベルで持ち, それによって行動や細胞内化学反応が制御されているからである. 生体内で情報がどの様な原理で判断され処理されているかを明らかにし, その機構を参照しながら, 次の様な人工膜系を作ることが本プロジェクトの目標である. 1:分子識別能と選択透過性の結合による判断機能を伴う高性能膜, 2:膜の物質輸送過程と膜振動および反応系の制御, 3:光刺激の感知過程と透過性, 反応性の制御 今年度は, 主として生体における情報の受容と流れを, ハロバクテリアおよびアメーバ様細胞について追求した. (A)高度好塩菌の正負走光性に関与するセンサリーロドプシン(sR)および負の走行性のみを制御するフォボロドプシン(pR)を発見し, フォトサイクルと走光性の相関を調べ, 機能発現機構を明らかにした. (B)アメーバ様運動細胞では, 非線形振動子の位相ベクトルの分布が, 情報の判断と伝達に本質的役割を演じていることを突き止めた. これら細胞レベルでの情報処理の物理化学的機構を参考にして上述の目標(1)に対して, 脂質膜に機能分子, 特にハロバクテリアから抽出したsR:pRおよび光エネルギーを化学エネルギーに変換するバクテリオロドプシン(bR)を組み込んで光に応答し, かつ光エネルギーを化学エネルギーに変換, 蓄積しながらセンシング出来る膜システムの試作, 目標(2)に関して, アメーバが位相ベクトルの分布により誘引一忌避条件の判別指令をしていることが明らかになったので, この原理を利用して, 膜振動子を組合わせ, 識別, 判断, 伝達機能を同時に持つセンシングシステムの試作, これらの試みは今年度は完成出来なかったが, 原理が分かっているため見透しは明るい.
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