Budget Amount *help |
¥3,000,000 (Direct Cost: ¥3,000,000)
Fiscal Year 1987: ¥3,000,000 (Direct Cost: ¥3,000,000)
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Research Abstract |
本研究では, 歪超格子の採用によりII-VI族化合物半導体の物性を制御することを目的に, MBE(分子線エピタキシー)法, 及びMOMBE(有機金属分子線エピタキシー)法により膜形成を行い, 下記の成果を得た. 1.MBE法によるZnSe-ZnTe歪超格子(SLS)の製作と評価:まずX線回折, 透過電顕による格子像観察, ラマン散乱法などにより構造評価を行った. その結果, 各層厚50〓以下では弾性歪により格子不整が緩和され, 精度良く超格子構造が形成されていることが確認された. また超格子構造により形成される量子準位を, フォトルミネッセンス(PL)法により評価し, 各層の膜厚制御により量子順位を可視光領域で制御可能であることを見い出した. また変調ドーピング法(n-SLS:ZnSe層にGaをドーピング, p-SLS:ZnTe層にSbをドーピング)によりp, n両伝導形の作成に初めて成功した. 更に超格子構造の熱的安定性については, 膜成長温度より180°C高い熱処理において相互拡散が認められた成長温度では無視できる程度であることが明らかとなった. 2.MOMBE法によるZnS-ZnSe歪超格子の製作と評価:またGaAs基板上に超格子を形成し, PL法により量子準位の光学的評価を行った. その結果, 400nm台の青色領域でZnSe井戸層の膜厚制御により量子準位の制御が可能であることを見い出した. またGaP基板上にZnSバッファー層を設け超格子を形成したところPL発光の半値幅の改善が認められた. 3.今後の計画:ZnSe-ZnTe歪超格子はタイプII超格子の為, 発光材料に供するためには各層10〓以下で精度良く堆積する必要があり, 単原子層成長技術の導入で本課題の達成を目指す. またMOMBE法では, 現在までに得た技術をもとにポリタイプ超格子を作製し, ZnS-ZnSe歪超格子と合わせ, より広いエネルギー範囲における量子準位制御を目指す.
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