Budget Amount *help |
¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
Fiscal Year 1987: ¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
|
Research Abstract |
本研究では, バイオシグナル分子, 特に細胞接着ペプチドや細胞増殖因子を合成高分子膜上に固定化して, 高分子膜上への細胞の接着と増殖による組織形成を導き, 生体適合性材料や細胞分離用デバイスの開発を目的とした. 細胞接着ペプチド, Arg-Glg-Asp-Ser(RGDS), を固定化したシリコーン膜を合成した. RGDS固定化シリコーン膜への繊維芽細胞の接着数は, RGDSの固定化量とともに増加し, 4.24×10^<-6>mol/cm^2の固定化量で(2.66±0.25)×10^4個/cm^2の接着数が得られた. 細胞接着蛋白質フィブロネクチンを吸着させた膜の場合, 細胞接着数は(2.20±0.3)×10^4個/cm^2であった. フィブロネクチン1分子中にRGDS配列は1個所だけであるから, 膜表面のRGDS量は0.79×10^<-8>〜1.86×10^<-7>mol/cm^2となる. この結果は, フィブロネクチンの1/10から1/100の細胞接着活性をもつRGDSを, 10〜100倍モルという高密度に固定化することにより, 接着蛋白質と同程度の機能を獲得したことを示すものである. ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリメタクリル酸メチル(PMMA)膜の表面を加水分離, クエン酸処理として, ウシインシュリン, ヒト上皮細胞成長因子(EGF), マウストランスフェリンなどの細胞増殖因子を固定化した. マウス繊維芽細胞STOを37°Cで48h培養したところ, インシュリン固定化PET膜上では, 無血清培地の場合でも細胞成長の促進が観測され, トランスフェリンやEGFを加えると, 2倍近くまで細胞増殖が促進された. インシュリンをPMMA膜に固定化した場合には, PET膜に固定化した場合よりさらに大きい効果が得られた. トランスフェリン固定化PET膜も同様に細胞成長促進作用を示した. これらの結果は, 増殖因子が固定化によりendocytosisを受けず, 分解されないまま情報を伝達しつづける結果, 非固定化因子が分解されて, down-regulationを受ける場合に比べ, 大きい増殖促進促進効果をもつことを示したものと考えられる.
|