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¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1987: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Research Abstract |
結晶-非晶ミクロ構造を有するポリエーテルセグメント化ポリアミドの優れた抗血栓性発現機作について, 血栓形成に重要な役割を果たす血小板と材料表面との相互作用に着目し検討を加えた. 材料上での血栓形成反応を, in vitroでシミュレートするために, 各高分子材料をコートしたガラスビーズを充填したカラムに, 多血小板血漿(PRP)を連続的に注入し, カラムより流出する血小板濃度の変化を計測した. ホモポリマーのナイロン610カラムにPRPを注入した場合, 10分以内に流出血小板数が急激に減少し, 20〜30分で血栓形成によりカラムが閉塞した. 一方, ポリプロピレンオキシドセグメント化ポリアミドでは, カラム開存時間40分以上を保持したものが多く見られ, 固体の差に依存しない高い抗血栓性を有していることが明らかとなった. カラム内に保持された血小板の形態は, ナイロン610上で著しく変化していたのに対し, セグメント化ポリアミド上では, 形態変化が抑制されていた. すなわち, セグメント化ポリアミドが, 粘着血小板の活性化を抑制することにより, 優れた抗血栓性を発現していることが示唆された. カラム内での血小板の活性化について知見を得るために, 所定時間PRPをカラム内でインキュベートし, その後の血小板の流出率を測定した. その結果, ナイロン610では, カラム内でのPRPインキュベーション時間の増加にしたがって流出率の著しい低下が認められたのに対し, セグメント化ポリアミドでは, 流出率の減少は僅かであった. したがって, ホモポリマーのナイロン上では, 血小板の接触活性化が誘起され, 血栓形成反応が促進されるのに対し, セグメント化ポリアミドでは, 接触活性化が効率よく抑制されていることが明らかとなり, この共重合体が血小板の生体機能を制御することにより, 優れた抗血栓性を発現していることが明らかとなった.
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