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¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 1987: ¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
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Research Abstract |
1.酸素分子の錯体の励起状態は光酸化反応の初期状態と考えられるにも拘らず, その量子化学的研究は2, 3に限られていた. 本研究では, 酸素分子とH_2O, NH_3OH, CH_3SHの錯体を非経験的分子軌道法計算によって研究した. 酸素分子をアルコールやアミノ類の液体中に溶かすと, 長波長測に新しいすそのが出現することが知られていた. この吸収帯は, 坪村とマリケンによって接触型電荷移動吸収帯と帰属されて説明されてきた. 本研究において, 上記の分子錯体の励起状態の電子構造を研究した結果, 最低励起状態は, 電荷移動型ではなく, むしろ, 酸素分子の^3Δu状態が摂動をうけて, 安定化した状態と考えられることが明らかになった. ^3Δu状態への遷移は本来禁制であるが, 電荷移動相互作用によって安定化すると, わずかにであるが許容になる. このことは, 酸素分子の光化学初期過程の研究にとって重要である. 2.上記の研究のためと, さらに一般的な応用のために, 非経験的分子軌道法計算をするプログラムシステムMOLYXを開発した. このシステムは, 大型計算機でも利用できるが, 机上にものる32ビットミニコンピュータでも非経験的計算が実行できるため, 研究の能率を著るしく向上させることができるようになった. 3.MOLYXシステムを利用して, 新しいエキシマー系を設計し, 実験家と協力して, AlAr^+系というこれまで知られていなかった分子イオンが, 200nmより短波長に巾の広い発光帯をもつことを明らかにした.
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