酵素反応をモデルとした高選択性,高活性酸素酸化触媒の研究
Project/Area Number |
62607511
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
成田 吉徳 京都大学, 理学部, 助教授 (00108979)
|
Project Period (FY) |
1987
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 1987)
|
Budget Amount *help |
¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 1987: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
|
Keywords | チトクロームP-450 / 不斉酸化触媒 / 酵素モデル反応 / 金属ポルフィリン / 分子認識 / エポキシ化反応 |
Research Abstract |
チトクロームP-450モノオキシゲナーゼの示す特異な触媒活性, 高い反応性, 基質選択性をより高度に利用することを目的として, 酵素を凌駕しまたその選択性を自在に調節することのできる人工酵素系の開拓を行った. 天然の酵素にみられる基質取り込み部位を再現するため, 反応中心のポルフィリン上にビナフタレンにより修飾された"BINAP"ポルフィリンを合成した. この化合物は立体的に強固に固定された芳香環で囲まれた特異な疎水場を有する. この疎水ポケット中で基質の反応を選択的に行なわせるために軸配位子として立体的に嵩高い置換基を有するイミダゾールの共存下に鉄(III)"BINAP"ポルフィリンを触媒としてオレフィンのエポキシ化を行ったところ反応の加速がみられた. 他の鉄ポルフィリン類の反応ではイミダゾールが共存すると著るしく反応が抑制されることからこの鉄"BINAP"ポルフィリンでは選択的に5配位錯体を形成していると結論付けられた. また同時に可視吸収スペクトルの測定からもこの新触媒は6配位錯体を形成し難いことが明らかとなった. これを用いて2種のオレフィンの競争的エポキシ化反応を行ったところ, 極めて良好な基質選択性(形状選択性)を示し, その基質取込み部位の特異な環境がこの選択性を支配しているものと結論づけられた. 次にビナフタレン類は軸不斉化合物であり, そのエナンチオマーを用いて不斉"BINAP"ポルフィリンを合成した. この鉄錯体を触媒としスチレン等の芳香族置換ビニル化合物の酸化をおこなったところ良好な「触媒的」不斉エポキシ化反応がみられた. 特に1-ビニルナフタレンの様に疎水場を構成する分子と立体的, 電子的に強く相互作用しうる基質では90%以上の光学純度で不斉誘導が達成された. これは単純な構造のオレフィンに対する触媒的不斉誘導の光学収率としてはこれまでの最高の数値である.
|
Report
(1 results)
Research Products
(3 results)