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¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 1987: ¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
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Research Abstract |
カルボニルアニオンは, その発生が困難であり発生できたとしても反応活性が高すぎるため制御不可能な中間体と考えられている. このような高活性中間体を容易かつ信頼できる手段で発生する方法を開発し, 発生した中間体を活用し得る反応の設計が可能となれば, 合成化学上の新方法論の開発に結びつくことが期待される. 本研究は, これらカルボニルアニオン活性種の信頼性ある発生法を開発し, これに基づく新合成法の創出を目的として行われたものである. 予備的研究として, まず種々炭素アニオンと一酸化炭素との反応性を調べた. さらに窒素アニオンや酸素アニオンについても検討を加えた. これらの結果として, アニオン種と一酸化炭素との反応は, アニオン種の化学的構造に依存することが明らかになった. すなわち, 一般的に述べれば, 安定なアニオン種は一酸化炭素とは反応せず, 不安定なアニオン種は一酸化炭素と良好に反応する. 一酸化炭素との反応が進行する場合, 初期生成物はカルボニルアニオンであることも明らかとなった. 一酸化炭素と反応し得るアニオン種の必要な構造上の知見を得るため, 種々の置換基を有するアニオン種を合成し一酸化炭素との反応を検討した. 得られた知見として, アニオン分散型の置換基を有するアニオンや, 大きな立体障害を有するアニオン種ではほとんど反応が進行しないこと, および適切な置換基を有するアニオン種では目的とするカルボニルアニオンが発生すること, の2点が重要である. ついでこの高性なアニオン種の制御法として種々検討した結果, 分子内変換法が有望であることが見出された. 本研究の成果は, 高活性種の制御に新しい指針を与え, 同時に有用な分子変換法の創出に寄与するところ大であると思われる.
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