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¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 1987: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Research Abstract |
本研究代表者はこれまでにオレフィン炭素上での求電子的置換反応に関する研究を行ってきた. この研究の応用として, 本研究では各種アルデヒドのヒドラゾン類のアゾメチン炭素のトリフルオロアセチル化を行なった. ホルムアルデヒド, 芳香族アルデヒドのN, N-ジメチルヒドラゾンは室温で極めて容易に, 高収率でトリフルオロアセチル化が行えることがわかった. しかしp-アニスアルデヒド, p-ジメチルアミノベンズアルデヒド, ならびに一般の脂肪族アルデヒドの場合には, 競争的におこるN-アシル化のために収率は極めて低い. しかしこれらの場合にも, N, N-ジイソプロピルヒドラゾンを用いればN-アセチル化が立体的に抑えられ, 収率よくトリフルオロアセチル化が行えることがわかった. これらのアシル化生成物は加水分解により含フッ素α-ジケトン類へ変換できた. この一連の反応はアルデヒド基の水素を簡便に収率よくトリフルオロアセチル基で置換する方法として便利に利用することができ, フッ素原子の特性を利用した超効率新増炭素手法による分子変換ともなっている. なおこれらのα-ジケトン類は含フッ素ピラジン類, チオフェン類, キノキサリン類へも容易に変換する事ができた. 上記のトリフルオロアセチル化されたヒドラゾン類は少量のピリジン存在下に無水トリフルオロ酢酸を加えることにより収率よく含フッ素ピラゾール類へ変換できた. トルエン中約2時間還流という条件下では含フッ素イミダゾール類へ変換できる. さらに, トリフルオロ酢酸中室温で数時間放置という条件下では興味ある環化反応(分子内でのカルボニル基へのメチル基の付加反応)をおこし, 収率よく含フッ素オキサジアジン誘導体へも変換することができた. 以上のようにして得られた各種の含フッ素ヘテロ環化合物はいずれも他法では極めて合成し難いものであり, 収率もよく, 簡便で, 超効率の新増炭素手法による分子変換法である.
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