Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1987: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Research Abstract |
気相からの結晶成長の従来の理論の多くは, 結晶内部の格子面と同じ構造の結晶表面(低指数面の場合は分子スケールで見て平坦)を前提としている. 一方, 近年, 理論ならびに各種の実験によって, バルク結晶の触点直下の温度における表面融解の現実性が確認されるに到った. 融液相でおおわれた結晶表面の気相成長機構は, 従来提唱されている成長機構とは全く異なるものに違いないが, それについての理論研究はほとんどなされていない. 本研究の目的は, 表面融解を起こした結晶の気相成長(蒸発)機構を理論的に検討し, 成長(蒸発)速度の過飽和度(未飽和度)依存性, 結晶方位依存性等の成長特性を明らかにすることにある. 表面融解によってし生じた疑似液体層でおおわれた結晶表面の気相成長は, 1)気相から疑似液体層への分子の凝縮と2)疑似液体層と結晶の間の界面での結晶化によって進行する. その際, 疑似液体層と結晶の間の界面での結晶化速度は, 界面構造に依存する. 62年度は, 界面が分子スケールで見て荒れている場合の成長機構を検討し, その気相成長速度R<ad(1)QL>を導出した. 成長速度R<ad(1)QL>は, 通常の気相成長において知られている過飽和度に比例するHertz-Knudsenの式の形にまとめられたが, そこに含まれる凝縮係数に疑似液体層の自己拡散係数Dが関連することが見出された. これは, 疑似液体層の分子が結晶格子に組み換えられる速さが自己拡散に支配されるためである. このことは, 表面融解を起こした結晶の成長(蒸発)速度の測定から, 疑似液体層の自己拡散係数Dの推定が可能であることを示している. そこで, 表面融解が実際に確認されている氷結晶の{0001}面と{10〓^^-面の成長(蒸発)速度を測定して理論式と比較するための実験装置を作成した. 63年度は, 62年度の理論考察を, 分子スケールで平らな界面に拡張すると同時に, 氷結晶の成長(蒸発)の実験を行う.
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