Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川辺 正樹 東京大学, 海洋研究所, 助教授 (40143549)
須藤 英雄 東京水産大学, 水産学部, 教授 (50150298)
竹内 倶佳 電気通信大学, 電気通信学部, 助教授 (00017378)
蜂屋 弘之 東京工業大学, 精密工学研究所, 助手 (90156349)
奥島 基良 東京工業大学, 精密工学研究所, 教授 (80016766)
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Research Abstract |
この研究は深層海流の挙動を調べる目的で海水の温度, 溶在酸素, 塩分, 水圧などの測定値から, 物理的解析を行うとともに, 上記諸量に依存する音波の伝搬特性を利用して, 深層水塊構造, 流動特性の計測法を開発する. 計測は音響トモグラフ法を中心に取扱う. 本年度は基礎実験として, 1)音波伝搬時間の計測, 2)音波による速度場の計測, 3)IESによる海流測定, 4)超音波送受波素子の研究, 5)モータ駆動型音響切離装置の開発を行った. 上記1)は雑音に強いM系列符号を用い, 相模湾で伝搬距離10Km, 深度1000m, 送受波器の深さ450m, 400mで実測し, この方法の実用性を立証した. 2)は多数の物体を流水に乗せ, これらに音波をあて反射波を受波アレイで受け, 合成開口法によって物体の位置と速度の情報を一括して計測する. 信号はドプラー効果に不感なD-LPM符号を用い, 実験室内での基礎実験で充分に満足できる結果をえた. 3)は錢洲海域で深度3000mの海底に3Km距てて2個のIESを設置し, 海流の平均値を求めた. このとき海面からの反射波には雑音が多く, この信号処理が課題であるが, 実用化のための基礎データがえられた. またこのIESの切離しに5)の装置を開発した. 物理的解析では北西太平洋を中心とする水温, 塩分, 溶在酸素の観測資料を収集整理して解析に必要な各種のグラフをまとめた. これらの図から, 南太平洋から高塩分水が170°E附近を通って北太平洋に入り, 一部は西方に, 一部はマリアナ海嶺南端からフィリッピン海に入る. このときの海底のギャップはほぼ深度4000mで, これより深層の水はフィリッピン海に入らないとみられる. 等密度面上では塩分は一様となっている. この他マリアナ海嶺東方, 東マリアナ海盆, フィリッピン海における溶在酸素に関して詳細な分析を行うことができた.
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