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¥3,000,000 (Direct Cost: ¥3,000,000)
Fiscal Year 1987: ¥3,000,000 (Direct Cost: ¥3,000,000)
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Research Abstract |
含水鉱物の脱水・加水反応の速度論的考察を行うための実験機器整備, 予備的実験を試みた. 蛇絞石とカンラン石との混合物の赤外拡散反射スペクトルを測定し, 3μm付近の吸収帯を用いて, どの程度の量の含水鉱物が検出可能かを調べた. この吸収帯は, 含水鉱物の存在にきわめて敏感で, わずか1%の蛇絞石の量でも検出された. また蛇絞石の量が10%以下ならこの吸収帯の面積強度は, その存在量とほぼ比例する. しかし, それ以上だと直線性が失われる. これは, 拡散反射スペクトルは吸収スペクトルとは違って, 散乱光等の影響を受けるためである. 蛇絞石の3μm付近の吸収帯の加熱による変化を調べるための予備的実験を行った. この吸収帯の面積強度は, 加熱の温度および時間と関係ずけられ, また粒子サイズが小さい程, 脱水が早く進む. 加熱によって蛇絞石の吸収帯より, 少し低波長側に別の吸収帯が現れ, 別の相が出現している事が示唆された. 3μm付近の吸収帯の特性化のために, いくつかの含水鉱物の拡散反射スペクトルを測定した. OH基を含む鉱物は2.8μm付近にOHの伸縮振動による比較的鋭い吸収帯を示すが, H_2Oとして含む鉱物はそれより少し長波長側に吸収を示す場合が多い. 赤外拡散反射スペクトルの3μm付近の吸収帯強度は, 含水鉱物の存在にきわめて敏感で, 定量的取扱いが可能である. 拡散反射スペクトルは, 通常の吸収スペクトル法に較べて, KBrによる吸水の影響を排除できるので, より容易に, 3μm付近の吸収帯による研究が可能となる. 今後は, 脱水および加水反応実験をさらに繰り返し, より詳しい速度論的な結果を得る予定である.
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