Budget Amount *help |
¥10,000,000 (Direct Cost: ¥10,000,000)
Fiscal Year 1987: ¥10,000,000 (Direct Cost: ¥10,000,000)
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Research Abstract |
本「糖鎖性癌抗原に対する単クローン抗体の臨床応用に関する基礎的研究」は次の5つの問題の研究に重点をおいている. それぞれのの問題別に本年度の成果を述べる. (1)糖鎖性癌抗原における抗原糖鎖の一次構造と癌特異性との間の構造相関をあきからにする事. これについて本年度は, 二型糖鎖について末端Galに対するFucやNeuAcによる修飾の癌特異性との相関をほぼ解明し, 現在, 一型糖鎖について, NeuAcの2→3と2→6結合の癌特異性との相関を検索中である. (2)多数のヒト癌症例の組織につき糖鎖抗原の分布と症例差を解析しヒト癌の糖鎖抗原地図を作成する事. また見出された癌に撰択的に見出される糖鎖抗原に対しては新らたにモノクローナル抗体を作成する事. これについて本年度は, 肺癌および肝癌合計40例の癌組織からの糖鎖抗原の抽出を完了し, 現在糖鎖抗原の出現パターンの解析と, 個々の抗原の構造解析を行っている. (3)糖鎖性癌抗原を目標にした免疫治療を可能にするために, 糖鎖抗原に対する免疫応答の制御機構を研究し, 各種の癌治療法を検討する事. また, 治療の際に最も問題になると考えられる「エスケープ現象」を解析する事. これについて本年度はヌードマウス可移植腫瘍に対する治療実験を開始した. また, 一つの癌細胞のもつ複数の糖鎖抗原の各々に全て抗体を作成しこれを一挙に用いた集約的治療を計画し, 現在抗体を作成中である. (4)合成糖鎖抗原を用いたモノクローナル抗体の作成法を確立する事. これについては有機化学的に合成した中性糖脂質に対して抗体を作成する事に成功した. 現在酸性糖脂質について試みている. (5)糖鎖性の血清腫瘍マーカーのそれぞれの臨床的意義をあきらかにし, これらの適切な整理分類法を確立して有効な組合せ診断法を見出す事. これについては, 構造をもとに血清腫瘍マーカーを分類し整理をはかると共に, 多数の臨床データの解析を進めている.
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