Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 周子 愛知県がんセンター研究所, 放射線部, 部長 (30073125)
福田 龍二 国立遺伝学研究所, 分子遺伝研究系, 助教授 (60027331)
西村 暹 国立がんセンター研究所, 生物物理部, 部長 (20076970)
中村 義一 東京大学, 医科学研究所, 助教授 (40114590)
由良 隆 京都大学, ウイルス研究所, 教授 (20027311)
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Research Abstract |
細胞複製に関与する基幹生産装置, 即ち, 転写装置と翻訳装置の形成と作動の制御機構を解明するための研究を展開し, 以下の成果を得た. 1)転写装置の研究 大腸菌転写装置の基幹成分RNAポリメラーゼ上の各種機能部位を同定し, 機能域地図を作成した. 一方, その機能, 特に転写対象遺伝子の選択識別能の変換の機構が解され, 機能変換を誘導するRNAポリメラーゼ結合蛋白群が発見された. 例えば, 熱ショック適応過程の遺伝子群のプロモーター認識に関与する蛋白因子δ^<32>の誘導合成機構, 作用機構, プロモーター選別機構が解明され, また類似因子の存在が示唆された. 転写終因子NusA蛋白についても, 合成制御機能, 生理的役割の解析が進展した. 機能不明のRNAポリメラーゼ結合蛋白については, 蛋白構造の決定から出発して遺伝子をクローニングし, その生理機能を探索する, 新しい遺伝解析法が導入され, 新たに累縮飢餓蛋白SSP遺伝子が単離された. また, 転写装置の機能変換, 特に転写シグナル識別特性を測定するためのin vitro系が開発され, 今後の発展が期待される. 2)翻訳装置の研究 翻訳装置の諸要素が, 転写調節因子として作用することが実証された. また, 転写産物が機能的mRNAに変換するスプライシングが, 多様な経路で進行し, 経路の選択が調節されていることが発見された. 真核生物では, 天然のサプレッサーtRNAが存在することが発見され, その量がウイルス感染で変動することから, 翻訳終結の制御が示唆された. 翻訳制御に加えて, 翻訳産物蛋白の代謝的安定性や機能も制御され, この過程に蛋白リン酸化が密接に関係することが観察された. 翻訳制御の分子機構は, 殆んど分っていない.
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