大腸菌oric領域を含む複合体の構造, 形成周期性および染色体複製開始との関連性
Project/Area Number |
62615505
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
永井 和夫 東京大学, 農学部, 助教授 (00011974)
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Project Period (FY) |
1987
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1987)
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Budget Amount *help |
¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
Fiscal Year 1987: ¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
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Keywords | 原核細胞 / 染色体複製 / 細胞複製 / 細胞周期 / 複製開始 / 生物時計 / 細胞表層 / DNA-膜複合体 |
Research Abstract |
E.col:K12PC2(dncac)株の染色体複製開始を温度シフトにより同調化し経時的にサンプリング後, 複製開始領域(oric領域)を含む複合体(oric複合体)の沈降する細胞画分中のDNAをoric, terc, lac領域を含むプラスミドをプローブとするハイブリダイゼーションによって解析した. その結果, (1)非許容温度(42°C)から許容温度(30°C)にシフトすると, 最初および2回目の複製開始時に顕著なoric複合体の形成のピークがみられた. (2)42℃から30°Cにシフトして染色体複製を開始させ, 10分後に再び42°Cにシフトすることにより2回目以降の複製開始を仰制したところ, 30°Cにシフト後複製が開始する時点でoric複合体は急激に増加し, 複製の進行に平行して減少する. その後再び複合体の形成があり, 更に培養時間が経過すると消失した. 30°Cにシフト時にterc領域もterc領域foric複合体の回収される分画中に有意に存在し, その後減少するが, 複製の完了後に対応する時点でoric複合体の形成されるよりやや早くにピークを形成する. lacオペロン領域DNAは全期間を通じこの画分に回収されなかった. (3)上記(2)の条件付下42°Cでoric複合体が形成している菌体を30°Cに戻すと直ちに複製を開始した. (4)42°Cから30°Cにシフトする10分前にナリジキン酸を添加してDNA合成の全くみられない状態でもoric複合体は正常に形成されたが, terc複合体の形成は認められなかった. また, ナリジキン酸を複製開始後20分目に加え, DNA鎖の伸長を止めた条件でも, oric複合体の形成のみが観察された. 以上より, oric複合体は染色体複製開始を可能ならしめるものと考えられる. また, oric複合体の形成がDNA複製の有無とは独立して同期的かつ一過性にみとめられたことから, 大腸菌は染色体複製とは別の生物時計を備えており, その時計により複製開始が制御されていると思われる.
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Report
(1 results)
Research Products
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