Research Abstract |
pSRIプラスミド(6251bp)の安定な分配には, プラスミドコードのP, Sタンパク質とS-RNA及びシスに働く2領域が必要であり, in vivoの実験から, Sタンパク質が2領域と相互作用すると言う結果が得られていた. また, in vitro転写・翻訳系を用いて合成したSタンパク質は, 2領域を含むDNA断片に結合した. Pタンパク質についても同様な実験を試みたが, DNAとの結合を調べることができなかった. そこで, P遺伝子をtacプロモーター下流に連結し, 大腸菌中で大量に合成させ精製中である. Sタンパク質も, pSRI DNAとの結合を詳しく調べるため, 大量生産系の確立を行なっている. S-RNAの実体を同定するため, この領域の欠質変異を種々作成し分配機能に与える影響を調べているが, 現在までのところ結論は出ていない. 更に, P, SをPH05及びGALIプロモーター下流に連結し, どちらか一方又は両方を大量に発現させた時のP, S, Rの発現をそれぞれのlacz融合タンパク質の活性により調べた. その結果, Sは2領域を介してPの発現を抑えると共に, 自分自身の発現も抑制するがRの発現を促進することが分かった. また, PはSとは反対にP, Sの発現を促進しRの発現を抑える. このことは, P, SがS, Rのプロモーター領域とも相互作用することを示唆し, P, Sタンパク質とこの領域の結合を調べる必要がある. pSRIプラスミドは, 本来の宿主である2rouxii中では安定に分配されるがS ceveuisiae中では10世代培養後10%以下しか保持されない. このことを利用して, pSRIを安定に分配するS ceveuisiae変異株を分離した. 変異株の中には優性変異のみならず劣性変異もあり, また1遺伝子変異のみをもつものや, 複数の変異をもつものがある. また, 分離された変異株の多くは成育が遅く, 宿主の増殖に関与する遺伝子に変異が起こっているものと思われる.
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