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¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 1987: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Research Abstract |
蛋白質の機能はその特異的な立体構造に依存しており, またその立体構造形成の情報は蛋白質の一次構造の中に含まれている. このことは蛋白質のアミノ酸配列順序を変えることにより好みの機能または安定性を保持した蛋白質を設計することが理論的に可能であることを意味する. しかし, 一次構造から立体構造を予測する課題はまだ未解決のまま残されている. そこでこの課題解決の実験的アプローチとして, アミノ酸置換による変異型蛋白質の安定性を定量的に測定し, 置換残基の特性との関連を明らかにした. 具体的のは, 大腸菌のトリプトファン合成酵素α-サブユニットの49位Gluを他の19種のアミノ酸各々に置換した変異型蛋白質の安定性を測定した. (1)変異蛋白質の安定性の定量的評価. 野生型及び18種の変異型α-サブユニットのpH7およびpH9での塩酸グアニジン変性曲線を解析することによって, 水中での変性のギブスエネルギー(△dG)を求めた. pH7での変異型各々の△dGの値は野生型の0.72-1.92倍に変化した. (2)安定性の置換残基の特性との関連. α-サブユニットの49位残基は分子内部に埋もれているので, 置換残基の疏水性と野生型及び18種の変異型α-サブユニットの水中での△dGの値との関連を調べた. 芳香族残基(Trp, Tyr, Phe)への置換型を除いて, 置換残基の疏水性と△dGとは直線関係にあった. つまり, 分子内部49位の置換残基の疏水性の増加に比例してα-サブユニットの安定性が高められた. Arg置換型が物理化学測定に必要な量を得られなかったのは, 49位Argが分子内部でイオン化状態にあり, 疏水性が著しく低下したために Arg置換型の安定性も著しく低下したと考えられる. また, 芳香族残基への置換型が直線関係から外れたのは, 他のアミノ酸に比べ残基容積が大きすぎたためとみられる.
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