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¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 1987: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Research Abstract |
近年ミトコンドリア・サイトパチー等の疾患において, ミトコンドリアゲノムの欠陥, あるいは関与が問題にされている. 患者試料は血液あるいは微量の生検組織に限られるため, 我々らが行って来たような精製したmtDNAを用いる分析は困難である. またサザンブロット法では, 分解能に限界があり, ゲノム中に大きな欠失・挿入があった場合にしか変化が観察されない. このため, 近年開発された変性剤濃度勾配電気泳動法(DGGE法)を用いた, mtDNAにおけるミスマッチの同定法への応用を試みた. 正常人2個体より精製したmtDNAの2.1KbのPst1断片をpUC19にクローニングした. この2個体のmtDNAのうち一方は制限酵素による分析でこのPst1断片中に9bpの欠失があることがわかっている. クローニングされた2種類のDNAを等量ずつ混ぜた後, 熱変性, 再結合するとホモデュプレックス2種類とヘテロデュプレックス2種類の混合物ができる. この混合物を, インサートをさらに切断するような制限酵素で消化し, DGGEにより泳動方向と平行に変性剤の濃度勾配をつけたゲルで, 60°C温度を保ちながら泳動する. ヘテロデュプレックス中に塩基置換等によるミスマッチがあると低い変性濃度二本鎖DNAの部分解離がおこり, その高次構造の変化によって易動度がおそくなるためホモデュプレックスと区別できる. 実際, 上述の混合物をRsaIで 切断し, DGGEで分析すると, 一方に欠失のある相同断片同士のヘテロデュプレックスでは, かなりの易動度の遅滞がみられた. さらに別の断片のヘテロデュプレックスでも易動度の遅滞が観察され, シークエンスによる分析で, この2種類のmtDNA断片の塩基配列には1塩基置換があることが明らかになった. この方法では, ミトコンドリア・サイトパチーの患者試料を用いた場合でも正常人試料との比較によって, どの部位で塩基置換がしるかをまず決め, その後シークエンスにらる分析に発展できる利点がある.
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