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¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 1987: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Research Abstract |
本研究の最初の年度であるので, 装置づくりよりスタートした. シトクロム酸化酵素と酸素との反応中間体の時間分解共鳴ラマンスペクトルを測定することを目的とし, ミクストフロー装置を改良した. すなわちラマンセルの直後にもう一つのフローセルを置き, 分光光度計の試料室の光路よりとり出したオプチカルファイバーで第二のセルを流れる試料の吸収スペクトルを測定することに成功した. その有効性を西洋わさびペルオキシダーゼ反応中間体で示した. しかしこの装置では, ラマン散乱測定部と吸収スペクトル測定部に少し時間のずれがあるので, 早い反応の場合には問題があった. 空間的に同一の部分のラマンスペクトルと吸収スペクトルを時間測定することを考え, 装置を作った. それはラマン測定用レーザー光と吸収スペクトル測定用白色光を1つのオプチカルファイバーにいれて混合してしまうという新しい発想によるもので, その装置の詳細とヘムタンパクへの応用例を論文として発表した. この装置をフローする酵素に適用するに際し, 長時間の積算が必要であることがわかった. 酵素量は限られているので, フロー中に酵素を再生する新しい系を作り, それを人工心肺装置と命名した. それらの装置を組合わせ, 目的とするチトクロム酸化酵素反応中間体を調べた. フローする分子が光ビーム中に滞在する時間が1msという条件で測定した可視吸収スペクトルは, B.Chanceが低温で検出したCompoundBのものと一致した. またフローする分子が光ビーム中に滞在する時間が150μs以内という条件で測定した可視スペクトルは, B.Chanceが低温で検出したCompoundAのものと一致した. それぞれの共鳴ラマンスペクトルを今回初めて確立したが, 同位体シフトの観測が次年度以降に残された. 共存するチトクロムCの可視吸収スペクトルより, CompoundAの段階では新たな電子移動が起こってないが, CompoundBでは起こっていることが明らかになった.
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