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¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 1987: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Research Abstract |
筋小胞体Ca-ATaseの分子機構を明らかにする目的で, 今回二つの研究を行なった. 1.NBD-clで修飾したCa-ATaseの反応機構. ウサギ骨格筋小胞体より精製したCa-ATaseの特異的システィン残基をNBD-clで蛍光標識した. 修飾酵素はATP反応性りん酸化中間体(E1P)からのCa遊離過程が著しく阻害されている以外はほぼ正常に近い性質を保持していた. EGTA前処理酵素にCaを加えるとNBDの蛍光強度は2.2倍に増加した. この蛍光増大のCa^<2+>濃度依存性から高親和性部位へのCa^<2+>結合に伴い, NBD修飾部位近傍に大きな構造変化が起こることが示唆された. 他方, ATP添加後に生成するE1Pの蛍光レベルは高くりん酸化していないE_1Ca^<2+>とほぼ同じであっが, 無機りん酸化によんて生成するADP非反応性のE_2Pのそれは, Ca非結合酵素(E_2)およびバナデート結合酵素(E_2V)と同じ低いレベルであった. 以上の結果により, 酵素のりん酸化の有無にかかわらず, Ca^<2+>の結合・解離によってNBD修飾部位近傍の構造が大きく変化することが示唆しれた. 2.Ca-ATase反応のTCSによる活性化. 我々は, Ca^<2+>輸送ならびにATP分解活性が, H^+のイオノフォアとして知られるTCSによって3〜5倍に促進されることを見出した. 興味深いことに, 活性化作用は比較的低い温度でのみ見られた. 6°Cでは, ATPase反応の個々の部分反応のおよその速度定数はE^<2Ca>_1→E_2P, 0.235^<-1>, E_2P→E_<2+>P2, 1.35^<-1>, E_2→E_1, 1.95^<-1>であったが, 30μMTCSは速度定数をそれぞれ1.35^<-1>, 2.25^<-1>, 2.25^<-1>に変化させた. 以上の結果は, TCSによる活性上昇の主原因が律速段階であるE^<2Ca>_1→E_2Pステップの活性化であることを示している. また他の実験から, TCSは親脂性の化合物ではあるがこれまで活性化作用の知られている界面活性剤とは異なる機構によって酵素を活性化することが示唆しれた. TCSはE_1→の異性化反応にはあまり影響せずE^<2Ca>_1からのCu^<2+>遊離過程を選択的に活性化するので, 今後のスッテプのactivaforとして利用できると思われる.
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