Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西塚 泰章 愛知県がんセンター研究所, 所長 (60073095)
豊田 裕 東京大学, 医科学研究所・獣医学研究部, 教授 (90050418)
山村 研一 熊本大学, 医学部附属遺伝医学研究施設・遺伝研究部, 教授 (90115197)
勝木 元也 東海大学, 医学部・細胞生物学教室, 助教授 (20051732)
森脇 和郎 国立遺伝学研究所, 細胞遺伝研究部門, 教授 (50000229)
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Research Abstract |
本研究「遺伝子導入動物」は, 自然界に存在しない新しいモデル動物を人為的に作り出すことにより, 基礎生物学の研究に不可欠な生物機能モデルや医学の研究に必須なヒト疾患モデルを開発することを目的に発足した. 初年度の実績は, 森脇班, 勝木班, 野村班の各分担班によって, 当初予想したよりも遥かに大きなものであった. 第1は, 実験用のマウスに野生マウスの遺伝子を交配によって導入した結果, 高頻度に組み換えを起す系統が得られ, 自然突然変異が多く分離されたことである. この突然変異を用いて, 新しい系統が開発できる可能性があり, 生物機能モデルの開発が期待される. 第2に, 単離精製された異種DNAを, マウス受精卵に導入し, 多くのトランスジェニックスマウスが得られた. これらのマウスはヒト疾患モデルとなる可能性が示唆された. ヒトトランスサイレチン遺伝子導入マウスでは, アミロイドの沈着が認められ, 家族性アミロイドポリニューロパチーのモデルとなることが期待される. ヒトインターロイキン2遺伝子導入マウスでは, 小脳にリンパ球の浸潤が認められ, 運動失調と皮膚の肥厚が観察され, 自己免疫疾患の可能性がある. その他, 遺伝子治療の成功も報告された. 第3は, 次々に生まれる新しいモデル動物の候補を維持し, 必要に応じて大量生産できるための技術が基本的に確立したことである. トランスジェニックマウスを体外受精により大量の胚として凍結保存し, 実験計画に従って融解した後胚移植を行ない仔マウスを得る方法が確立し, 約100系統, 20,000個以上の胚が凍結され, 一部は実験が実施され成果を得ることができた. 以上の各研究班を総括し, 緊密な連携のもとに運営した結果, 当初予想し得なかった新しい課題も生じた. それは, 導入遺伝子の子孫への伝達が, これまでの遺伝学だけでは説明できない場合があることである. これらを総合し, 今後の総括班運営を行ないたい.
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