Research Abstract |
マウスFM3A細胞の対数増殖期(5×10_5細胞/ml)と定常期(1×10_6細胞/ml)からS100を調整し, invitro転写系それぞれのrDNA転写活性を調べたところ, 対数増殖期では効率良い転写が見られたが, 定数期では7%程度に転写活性が低下した. 両者を混合すると, 効率良い転写が生じることから, 定常期の活性低下は, 阻害因子によるものではなく, 正の転写因子によるものであることが示唆された. それぞれのS100を, リン酸セルロースカラムクロマトにより, 0.1M, 0.4M, 0.8M及び1.2M塩化カリウムを含む緩〓液で4つに分画化し, それぞれ, A, B, C, 及びD分画と名ずけた. 再構成系を用いて転写活性を調べた結果, 分画Cが定常期由来であれば転写活性が著しく低下し, A, B, Dが定常期由来であっても, 分画Cが対数増殖期由来であれば効率良い転写が見られた. 分画Cには, RNAポリメラーゼIのほとんど全てが回収されるが, ランダム転写系で対数増殖期と定常期のRNAポリメラーゼIの活性を比較すると定常期ではやや活性の低下が見られ対数増殖期の63%であった. このことから, 単にRNAポリメラーゼIの活性低下だけでは両者の活性の差を説明できえないと考えられた. 更に, 分画CのRNase活性の影響を調べたところ, 対数増殖期と定常期とは相違がなかった. 以上のことから, 細胞増殖の変化により, rDNAの転写活性に影響を与える正の転写調節因子の存在が示唆された. 一方, rRNAプロセッシング機構解析のための, 転写と脱共役化したプロセッシング系の開発を行った. RNAポリメラーゼI又は, バクテリオファージSP6RNAポリメラーゼを用いて^<32>P標識RNAを合成し, フェノール抽出, クロロホルム抽出後エタノール沈澱により, 放射化RNAを回収し, リボプローブした. S100又は分画Aと加温することにより, マウス18SrRNAの5′末端105塩基上流でのプロセシングが生じた.
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