Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1987: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Research Abstract |
テラトカルシノーマ幹細胞をレチノイン酸で分化誘導する時, 分化初期段階で発現が誘導される遺伝子MK1が同定された. 幹細胞クローンHM1をレチノイン酸で24時間処理した細胞からcDNAライブラリーを作成し, differential hybridqationによるスクリーニングで, MK1遺伝子がクローニングされた. この遺伝子の規定するメッセンジャーRNAは1kbである. HM1細胞での分化誘導後12時間で発現が増強し, 48時間で最大となった. 以後発現は減少していき, 分化終了時には検出できなくなった. マウス胚では, 発生開始後11日に強い発現が認められ, 15日胚では検出できなくなった. 成体マウスの各種の臓器の中では, 腎臓と脳にのみ弱い発現が認められた. MK1のcDNA塩基配列をジデオキシ法により決定したところ, 分子量約1万のポリペプチドを規定するオープンリーディングフレイムが見出された. このMK1ポリペプチドは塩基性アミノ酸に富み, かつ短い領域ながらウシ白血病ウイルスのDNA結合タンパク質との間にホモロジーを持つことから, DNA結合タンパク質の一種である可能性が生じた. そこでMK1cDNAをSP6の系で転写し, キャップ付加後, 赤芽球の無細胞系で翻訳し, MK1ポリペプチドを作成した. MK1ポリペプチドは部分的にDNAセルロースに結合し, 高イオン強度で溶出された. いっぽう, コンピューターサーベイの結果, MK1遺伝子はヒストン, ステロイドホルモンレセプター, ホメオボックス含有遺伝子とは異ることが判明した. 以上のように, MK1はレメノイン酸による分化誘導の初期段階の転写制御に関与する可能性が強い. 今後, 遺伝子導入によってその機能を検証する予定である. また, レチノイン酸によるMK1遺伝子の発現誘導機構も興味深く, この研究の基盤として, MK1のgenomic DNAをクローニングし, 構造決定を進めた.
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