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¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1987: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Research Abstract |
アフリカツメガエル卵母細胞に夜行性動物の網膜から抽出したmRNAを注入すれば, 視細胞に存在し光受容に関与している物質が翻訳, 発現されると予想される. この様にして発現された光受容分子の機能を主に電気生理学的方法を用いて検討するための卵母細胞によるmRNA翻訳システムを作製する事が今年度の目標であった. まず卵母細胞の電気生理学的記録・測定システムを今年度予算で購入したコンピューター, A-Dコンバーターと現有する微小電極用増幅器および膜電位固定用増幅器とを接続して組み立て, 実験制御およびデーター記録を行うプログラムを開発した. 次に, mRNA注射実験にさきだちシステムのシストをかねて卵母細胞自身の電気的性質や培養条件を求める実験を開始した. 日本産のツメガエルは機械的外傷に弱かったので摘出方法を機械的なものからコラゲナーゼをもちいた方法に変更した. 卵母細胞培養液として広く使用されているBarth液を単離直後より使用しても膜電位, 膜抵抗を保つことはできなかったので培養方法についても検討を加えた結果2〜3日間は卵母細胞を培養できるようになった. そこで, 50羽のヒヨコ網膜よりmRNAをグアニジンSCN法で抽出し, 試作した微量注射装置で卵母細胞一個あたり50nlづつ注射した後24時間培養したところ, 視細胞からの光情報伝達に関与している神経伝達物質の一つであるγ-アミノ酪酸(GABA)に対する応答が出現した. 投与されたGABAの濃度に応じて卵母細胞は膜抵抗の減少を伴った脱分極をしめした. この応答の逆転電位は-20mVであった. また, 応答の振幅がGABA投与開始直後に最大となった後指数関数的に減少し数分以内にほぼ消失する特微的な脱感作が観察された. このような応答の特性は, 以前から中枢細胞系で知られていたGABA受容体の性質と一致する. このように今年度作製したmRNA翻訳システムは予定どおり作動し, 正常に機能する受容体タンパクを卵母細胞の上に再構成する事ができることがわかった.
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