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¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
Fiscal Year 1987: ¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
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Research Abstract |
本研究は, 脊椎動物(ウシ)の視細胞桿体外節における光刺激伝達初期過程においてトランスデューシン(T)が, その機能を発現する際の活性調節機構を解析することを目的として遂行された. すなわち, Tの精製過程において, Tβγが複数の分子種からなることを見いだし, ついでTαへのGTP結合能においてTβγには活性型と不活性型が存在することを明らかとして, Tβγの不均一性の蛋白化学的相違について検討した. 1.ウシ網膜視細胞桿体外節画分からTの各サブユニット(TαおよびTβγ)を分離した. 精製TβγをさらにDEAE-toyopearlカラムにより分離し, 各画分のTαへのGppNHp結合活性を測定した結果, TβγにはTαと共役しない不活性型(Tβγ-1)と共役する活性型(Tβγ-2)が存在することを見いだした. 2.Tβγ-1, Tβγ-2はMomo Qカラムで分離され, 8M尿素を含むSDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)において両者のTγの易動度は明らかに異なることが判明した. すなわち, Tβγ-1のTγの易動度は分子量78,000, Tβγ-2のTγは分子量5,800に相当した. SDSを含まない8M尿素-PAGEでも両分子種のTγの易動度は異なり, Tγの荷電の違いが示唆された. この結果, Tβγの機能上のheoerogeneity, つまり活性型と不活性型の存在は, Tγの構造上の違いに基づくことが示唆された. 3.活性型および不活性型TβγのTγの一次構造に違いがあることが示唆されたので, HPLCにより不活性型Tγ(Tγ-1), 活性型Tγ(Tγ-2, Tγ-3, Tγ-4)分離精製し, 各々のアミノ酸組成, N端からのアミノ酸配列およびC端アミノ酸の分析を行なった. この結果本研究で得られた全てのTγ分子種は, N末端をProおよびC末端をGlyとする68個のアミノ酸より構成されていると推定され, 活性型および不活性型Tγの一次構造の違いはない事が明らかとなった. したがって, 各Tγ分子種の構造的な違いは蛋白の表面荷電に違いをもたらす構造化学修飾に基づくと考えられた.
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